メンテナンス
自分のブーツのことを、もっと知ろう
シリオブーツはハードな山からタウンまでいろいろなフィールドを想定して企画・製造しています。自分のブーツがどんな素材でできているか?どうしたら長く履けるか?どのようにしてお手入れすればいいのか?自分のブーツをよく知ってください。シリオブーツは長くフィールドに行く大切なパートナーです。
ブーツの素材について
● 天然皮革
色、艶、柔らかさなどのバラつき、質感の違いなどは、天然素材ならではの個体差です。天然皮革ゆえ、擦り傷などが付きますが耐久性を損なうものではありません。また、現在の染色技術では色落ち及び色移りを完全に防ぐことはできません。
● 合成皮革/人工皮革
合成皮革/人工皮革には、ポリウレタン樹脂を使用しています。ポリウレタン素材は、空気中の湿度や紫外線、汚れなどによって劣化(剥離、べたつき、毛羽立ち)します。空気中の水分によって劣化しますので、新品のまま保管しておいても劣化を防ぐことはできません。劣化の進行は温度や湿度などの環境により大きく変わります。ベンジン、シンナーなどの溶剤は絶対に使用しないでください。また、現在の染色技術では色落ち及び色移りを完全に防ぐことはできません。
● TPU (サーモプラスチック)
TPU(サーモプラスチック)素材には、エーテル系ポリウレタンを使用しています。エステル系ポリウレタンと比べ、より長い期間使用できるように配慮していますが、素材の特性上使用頻度にかかわらず製造後5年程度で徐々に劣化(経年劣化)し剥がれ、ひびが入り破損してしまう場合があります。劣化の進行は温度や湿度などの環境により大きく変わります。
● ポリウレタン (PU)ミッドソール
ミッドソールに使用するポリウレタン(PU)は、クッション性、耐摩耗性などに非常に優れていますが素材の特性上使用頻度にかかわらず製造後5年程度で徐々に劣化(経年劣化)し突然ソールが剥がれ、破損してしまう場合があります。劣化の進行は温度や湿度などの環境により大きく変わります。
● ゴムソール ラバーバンパー
アウトソール、ラバーバンパーにはゴム製品を使用しておりますが、ゴムは時間とともに性質が変化し、亀裂が生じ、硬化、軟化あるいはべたついて劣化します。また、接着剤も時間の経過とともに経年劣化し、剥がれ、剥離などを起こします。一般的な劣化現象であるので防ぐことはできません。その進行は温度や湿度などの環境により大きく変わります。ソールの減り方は、歩き方、ご使用方法によって異なります。
※ここに記載した5年という年数は、あくまでも目安です。製品の実際の使用期限を示すものではありません。環境条件・保管条件およびご使用方法によって、この年数を経過した製品であっても、継続使用できる場合もあれば、この年数を経過していない製品でも継続使用に適していない場合もあります。
登る前に
山に登る前に慣らし履きを
実際に登山で履くソックスを履き、もう一度靴を履いてみてください。購入店で試した時には分からなかったところに気がつくかもしれません。そして、本番の登山の前には是非、近所の里山歩きを。それが出来なければ公園の散歩でもかまいません。ヒモを締めて、しばらく歩いてみてください。坂道や階段などがあればベターです。気になることがあればご購入店で調整※をしてください。特に皮革の重登山靴などは、数回慣らし履きをお薦めします。慣らし履きすることで本番の登山の不安も解消されます。
防水対策、紫外線対策を万全に
ソール以外のアッパー部分に防水スプレーをブーツから30cmほど離してまんべんなく吹きかけます。これで靴表面の防水が出来ます。ナチュラルレザー、フルグレインレザーの場合は、ソール以外のアッパーの部分に防水スプレーを吹き付けるか、靴墨を薄く塗ります。
山から帰ってきたら
保管前の靴のお手入れ
靴は、お手入れ次第で長持ちします。メンテナンスや保管は、靴をきれいに保つだけでなく泥や汚れによるダメージから靴を守る大切な作業です。シリオの靴はここで紹介する方法でメンテナンスするようお願いします。
まずは十分な乾燥を
山で使用した靴は、表面が濡れていなくとも内部には湿気がたまっています。そのまま保管するとソールが剥がれたり、カビや劣化の原因になります。なお、ブーツを乾かす時は日陰で乾燥してください。
※ストーブ・ドライヤーで乾燥させることは厳禁です。
汚れ落としを丁寧に
泥やホコリなどの汚れには靴を傷める細菌などが含まれています。革が酸化して傷んだり、カビの原因にもなりかねません。
適切な場所へ保管を
保管場所も、革やソールに大きな影響を及ぼしますので、細心の注意が必要です。
メンテナンス 安全点検
使用頻度にかかわらず、ご使用前は安全点検を必ず行ってください。特に長期間使用していない場合は、使用予定の1ヶ月ほど前には入念に点検し、必要であれば適切なメンテナンスや処置を施してください。
- フックやD環、アッパー、シューレース(靴紐)などに損傷がないかを点検してください。
- ソールに大きな傷がないか、ソールが減っていないかを確認し、必要であればソール張替をしてください。シリオの靴は一部モデルを除き、ソールの張替が可能です(有料)。ソールの張替は、ご購入店にてご依頼ください。
- ソールやミッドソールの弾力性があるかないか、色つやが極端に落ちていないかは、特に念入りに点検してください。経年劣化の可能性があれば、ご使用はお止めください。
汚れ落としの方法
- アッパーの汚れは、粗めのブラシでブラッシングして、泥やホコリを落とし、その後、柔らかな布で拭き取ってください。汚れがひどい場合には、市販のジェル、クリームなどで汚れを落とし、日陰で完全に乾かしてください。
- 合成皮革/人工皮革は水を含ませたスポンジで拭き取り、日陰で自然乾燥させてください。
- ソールに詰まった汚れは、ブラシやヘラで取り除いてください。酷い汚れはタワシなどでソールを水洗いし、その際、靴の内部を濡らさないように注意してください。
- 汚れたシューレースは中性洗剤で水洗いしてください。
保革
- 靴の素材に合った保革ケアをおすすめします。ジェル又はローションタイプがおすすめです。
- 撥水効果が落ちてきたと感じたら、撥水スプレー等をお使いください。
推奨ケア製品 ケア製品の取り扱いについては各社にお問い合わせください。
乾燥の方法
- シューレースを緩めてフットベットを取り出し、最低一日は陰干ししてください。
- 雨で靴が濡れてしまった場合には、シューレースとフットベットを取り出し、完全に乾くまで風通しの良い場所で陰干ししてください。乾いたら、新聞紙などを詰めて形を整え、シューレースを締めて保管してください。濡れた靴をストーブや、ドライヤー、直射日光で乾かすと、革やナイロンが変形して痛みやすくなります。
- 山小屋の乾燥室で靴を乾かす場合には、必ずシューレースとフットベットを取り出し、ストーブのすぐ近くには絶対置かないでください。なお、甲皮は色落ちすることがありますのでご注意ください。
保管場所について
- 湿気や紫外線は靴の大敵ですので、直射日光の当たらない風通しの良い場所で保管してください。普段使用している下駄箱に収納しておくのが良い方法です。
- 箱に入れて押し入れなどに保管する場合には、定期的に風通しの良い場所で陰干ししてください。
- 革が呼吸できなくなりますから、ビニール袋にいれて保管しないでください。
- 炎天下の車のなかやストーブの近くなど、高温多湿になる場所に放置しないでください。革、ゴアテックス メンブレン、ソールなどが痛みやすくなります。
防水対策(全てのシリオ・ブーツ)
ソール、バイキャスト部以外のアッパーの部分に、防水スプレーをブーツから30cmくらい離してまんべんなく吹き付けます。これで靴表面の防水ができます。
ナチュラルレザー、フルグレインレザーの場合
ソール以外のアッパーの部分に防水スプレーを吹き付けるか、靴墨を薄く塗ります。
保管前のお手入れ
● クロスタ/ヌバック/スウェードの場合
保管する前にブラシを使って皮の表面を整え、色落ちがあるようでしたら、捕色スプレー等(ヌバックカラースプレイ等)を靴から30cmくらい離してまんべんなく吹き付けます。(保革油はお使いにならないようにしてください。)
※保革油はお使いにならないようにしてください。
● ナチュラルレザー、フルグレインレザーの場合
保管する前に防水スプレーを吹き付けるか、靴墨を薄く塗り込んでおいてください。必ず完全に乾いてから保管してください。
※必ず完全に乾いてから保管してください。
ご注意
シリオ・ブーツは、大半のモデルにゴアテックスメンブレンを採用して防水性と透湿性を実現しています。アッパー(甲皮)のお手入れを怠りますと、アッパーとゴアテックス メンブレンの間に水がたまり、足入れ口の縫い目から内部に侵入する恐れがありますのでご注意ください。また、スプレーを必要以上に吹き付けると、革の機能を損ねたり、ソール剥がれを招く原因となりますのでご注意ください。
シリオ純正以外のフットベットを使用しての漏水は保証対象外となります。
現在の染色技術では色落ちを完全に止めることはできません。アッパーやライニングに天然皮革、マイクロファイバー・シンセティックレザー、織布を使用した商品は、雨や多量の発汗・摩擦などにより色落ちすることがあります。淡い色の靴下や衣類の着色にはご注意ください。
靴が屈曲した際や接地した時に音が鳴る場合があります。これは快適さを生み出す靴の構造や素材の組み合わせによって生じるものです。この音鳴りを減少させるように改善を努めておりますが、抑制しきれない面もございます。ブーツの機能をご理解の上、ご使用下さいますようお願いします。